くじら雲

奥さんのひとりごと

2011年くらいから、福岡の空には頻繁にベールがかかるようになった。

小学1年のある快晴の日、運動場で授業があった。

「くじら雲」の朗読だった。

鮮やかで澄みきった青空に、わたあめのような雲が大、小、ぽっかり浮かんでいた。

「いちっ、にっの、さ~~んっ!ジャ~ンプ!」

わたしは確かに雲に乗った。

これ以上完璧な空はない。

小さな瞳を輝かせていた。

昨日も今日も厚いベールに覆われている。

わたしは悔しくてたまらない。