ぬいぐるみ

奥さんのひとりごと

遮光カーテンが苦手だ。

真っ暗だと何処に何がいるか分からないから、
気になって眠れない。

住み慣れた家でも駄目だ。
安いカーテンの薄明るさが丁度いい。

あの時までは、別にそんなことは気にならなかったが‥

幼い頃のとある晩のこと。

いつものように川の字の真ん中に入り布団をかぶる。
キョロリと周りを見渡した。

いつもは閉まっているはずの押し入れが、
少しだけ開いている‥。

気になったが、いつの間にか眠っていた。

大人になって親に聞かされたのだが、
その日は、引越しの前日だった。

それからどのくらい経ったのか、
ふと目が覚めた。

押し入れを思い出してしまい目をやると、
‥やはり少し開いている。

ぎゅっと目をつぶるが、
やはり気になって見てしまう。

すると、押し入れの暗闇から、
明るく浮かびあがった人形が出てきた。

浮いたまま、すーーーっと、
こっちに向かってきている。

とっさにお父さんにしがみついた。

ガタガタと震えがきたのを、
はっきりと覚えている。

親の話では、朝から大騒ぎで、
夢だということにするのに大変だったと。

座敷わらしがお別れの挨拶に来たかも、
とはとても言えなかったらしい。

それからというもの、就寝時の暗さや、隙間が
気になるようになった。

怖いと言うか、とにかく眠れなくなる。

“座敷わらし”と聞くと、日本人形をイメージするかもしれないが、
わたしが見たのは、洋風の人形だった。

家にそんなものはなかった。

サンタにもらった、大好きなネコのみーちゃんだったら
全然怖くなかったのに‥と思う。


これまでに、同じような体験をした人が一人だけいた。
その人も恐怖でしかなかったと言っていた。

わたしも忘れられないけど、よかったかもしれないと今は思う。

後にも先にもその一回、ということからすると、
これもやはり、子供の時だけの特別なものなのかもしれない。

そういえば、小学3年生の一定期間だけ使えた、
面白い魔法がある!

これは、また次回に‥。