傘を差した話(向こうの世界)

奥さんのひとりごと

そこは神社のような所だが、祠はない。

大きな木々に囲まれている。

中央では人々が集まり、祭りの準備をしている。

ここに来たのは三度目か。

しかし、お祭りが始まる前にまたしても雨…

小さな倉庫の雨どいの下に駆け込む。

少し寒い。

ふと、傍に小さな女の子。

小学一年生くらいか。

『傘持ってるよぉ。貸してあげるよ。』

人見知りのわたしは戸惑ったが、一緒に傘に入り祭りの会場に戻った。

わたしは、誰かと来ていたようで、

『こっちこっち。』と、料理が並んだ長テーブルから手招きされた。

知らない人だが、ここでは知り合いのようだ。

そうこうしているうちに雨も上がり、その子も一緒に食べることになった。

おにぎりにお漬物、一際目立つ大きな大きな魚の煮つけ。

1メートル半くらいか。

でも当たり前のようにみんな食べている。

何故かわたしも驚かない。

ここでは普通なのだ。


次は水害に遭った話を書こうと思う。