今日は、電車に乗りデパートまで来ていた。
ここから少し歩けば海に出る。
久しぶりに、海沿いにある飲食店に行こうと思った。
そこは、船の中がお店になっている。
小さな船が20隻ほど並んでぷかぷかと浮いている。
以前行ったお刺身を食べた和食屋さんにまた行こうかな。
ウキウキしながら向かう。
他にもそこを目指しているであろう人達がいる。
人気がある店は並ぶこともあるから急ごうと思った矢先、
ポツリと頬に雨粒が落ちた…
いつの間にか空が半分暗い。
引き返している人がいる中、わたしは一応向かった。
しかし案の定、どこの店も片付けをしている。
『終わりですか?』
『ひどくなるからね~。無理だね。早く帰りな。』
困り顔の店主が空を見ている。
雨粒がどんどん落ちだした。
風で船が揺れている。
残念だけど、よくあること。
とにかく雨が多いのだ。
ちなみにわたしは傘を持っていない。
ここでは何故か持っていない。
理由は分からない。
買おうと思ったこともない。
そういえば、ただ一度だけ差したことがあった。
小さな子が貸してくれたんだった。
それはまたいつか…。
向こうの世界の話
