この先に一段高くなっている道がある。
アーケード伝いに、なんとかその道路にでた。
既に沢山の人が高台の方に避難しようとしていた。
一番ひどい時は、後から後から水が上がってくるのだ。
わたしはとにかく山を目指した。
以前に書いたが、緩やかな丘を登った先に住宅街や学校があるのだが、
その先に商店街がある。商店街の先は山に続いていく。
いつかと同様に人と車でごった返している。
登っても登っても、下から、横から水がどんどん迫ってくる。
右の方から、『こっちは危ない逃げろ』と叫び声が聞こえる。
一斉に左に逃げる。だが、左からも滝のような水がきている。
とにかく思いつくままに逃げた。
とても恐いのだが、いつも助かることが分かっている。
助かり方をもう知っているからだろうか。
ここまでひどくなることは滅多にないが、
それでも覚えているだけでも四回はある。
ずっと前からここに来ている。
ここが嫌いじゃない。
むしろ今は好きだ。
埃&雑菌だらけのペラペラの布は誰一人していないし、
何より、わたしがわたしらしくいる。
ここにいる全員が誰の目も気にせずに自由に暮らしているように思う。
何度も言うように、水害と謎の飛行物体は困りものだが。
警戒心の強いこのわたしが、常に何処かに出掛けている。
ポジティブにアクティブにいられる。
誰もお金に囚われていない。
その為か、犯罪が起こらない。
理想だと思う。
逆になるが、あっちは窮屈すぎ。違和感しかない。
水害の遭った話の続き(向こうの世界)
